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「従業員エンゲージメントを高めよ!」と言われた時に実践できる具体策

# よりよい働き方のために

はじめに

私たちの会社に、CHOが誕生したのは、2019年です。

従業員の幸福度と企業貢献の好循環環境を伸ばす目的の「Happiness大作戦!!」という全社活動の1つとして、事業部ごとにChief Happiness Officerを任命。事業部ごとの活動内容は、大きな方向性こそ決まっていますが、実際にはCHOと「しあわせ係」と呼ばれる担当者が自由に工夫しながら模索します。そして隔月で開催される「代表しあわせ係※1会議」で活動内容を共有。意見交換をとおして、より効果的な活動へとブラッシュアップされます。

2019年から3年間に渡って実施したこの活動。当時は「社員の幸福度」という言葉で取り組んでいましたが、後に行った社内アンケート調査の結果から、従業員エンゲージメントを高めるためにも役立っていたことがわかってきました。

本記事では、全部門が実際に行った具体策を整理して、テーマ別にチェックリストにしてご紹介します。意外に単純だなと思われる施策から、独特でユニークな施策もあります。みなさんの従業員エンゲージメントの向上施策のヒントになれば嬉しいです。

※1 代表しあわせ係:しあわせ係の人数は各事業部で自由に設定し、その中から代表しあわせ係を1名任命しました。

①コミュニケーションを活性化する

もっとも多かったのが、オンラインによる懇親会・懇談会などの時間を設けることでした。ただ単純に開催するのではなく、対象者やテーマなどに工夫を凝らし、さまざまなオンライン交流がおこなわれました。

  • □各部門代表者によるオンライン懇親会・懇談会の開催
  • □オンライン忘年会の開催
  • □オンライン若手社員交流会もしくはランチミーティングを開催。同期との繋がりを強化する
  • □1年目と2年目社員で部署をまたがる小集団を作成。「現在の問題点」「仕事のやりがい」などテーマを決めて議論。さらに成果発表会も開催。顔を広げることが狙い
  • □社内ホームページに、しあわせをテーマにしたコラムを掲載してコミュニケーションを促進する
  • □オンライン会議の冒頭5〜10分を「ハピネスフリートーク」と名付けてアイスブレイクを推奨。しあわせに感じたことなどを共有し業務以外のコミュニケーションの機会を創出。その後の会議体も効率的に進行できる
  • □「しあわせ回覧板」を社員全員で回覧。回覧後は「しあわせ会議」を開催し、議論・分析。良い意見をあらためて紹介する

②“幸福度”向上につながるTeamsの活用法

当時、業務で活用していたTeamsと“幸福度”をもっと絡められないかと考えたCHO、しあわせ係も多かったようです。

  • □オンライン会議で、発言時や会議開催の最初などにカメラをオンにする「顔出しオンラインミーティング」を推進
  • □Teams内に「しあわせチーム」を作成。楽しかったこと、しあわせに感じたことを自由に投稿する。しあわせを共有することで、自らのしあわせの気づきを得る目的
  • □Teams活用の手引き「くりックガイド」※2を作成。Teams活用で生産性の向上による勤務時間の短縮とコミュニケーション活性化を推進する目的
  • □Teams上に全社運動チャネルを作成。自己紹介シートを作成し、社員全員がお互いを知るきっかけにする
  • □Teamsなどのツールで顔写真の登録を推進する
  • □Teamsで「ホッと一息タイム」と名付けたオンライン会議を開催。自由に出入り可能で、他チームとの情報交換の機会を創出
  • □Outlook(スケジューラ)やTeams(顔写真)などの登録基準を検討して決める

※2「くりックガイド」:「クリック」に当社シンボルキャラクターの名前「くりえいとん」をひっかけたネーミング。ちょっとした表記にも遊び心があります。

③新人、若年層の帰属意識の向上を

活動がスタートした翌年、コロナ禍の影響で半強制的に在宅勤務が拡大。当時の新入社員をはじめとする若年層のリアルな交流が非常にすくないことに着目し、若い世代を盛り上げていくような施策も多くみられました。

  • □若手社員をしあわせ係サポーターに任命して、職場交流機会やイベントの企画・検討および実施
  • □新人・若手交流会の実施。若手メンバーに加え、しあわせ係も含めての交流会
  • □人間関係構築を目的とした週1回30分ミーティング実施(対象は新人〜5年目)
  • □混成チームによるアイデアソン実施(対象は新人〜5年目)
  • □OJTの指導員を複数名配置してOJTを実施する
  • □新人による業務報告会を実施
  • □若手中心の新事業検討会を実施
  • □新人向けオンラインサロンの開催

④メッセージを発信する。情報を共有する

メッセージや情報の共有にも、多くの事業部が取り組みました。CHOからのトップダウンだけでなく、一人ひとりが発信者となることを促す点も、重要なポイントでした。

  • □社員にCHOのメッセージを配信。社内ホームページに掲載し、かつ社員宛にメールも配信
  • □管理職のリレーメッセージを部門内で配信する
  • □自己紹介を含む自己PRのリレーメッセージを実施。各自が自分の担当業務を紹介することで他部署の仕事内容の共有化も図る
  • □Teamsを活用して、情報共有、進捗確認などのコミュニケーションを実施する
  • □自分たちのチームの目的(意義)を共有し、チームの中でどのように成長するか、個人の成長目標も設定する。必ず全員が参加する
  • □「しあわせ日記」を実施。「しあわせになるためにとった行動」「しあわせを感じた出来事」「しあわせになるための提案」をTeamsに投稿する
  • □各事業部の横串活動として得意技術を共有する

⑤調査をして、現状を振り返る

効果は出ているのか。事業部内のメンバーがどのように感じているか。そうした声を吸い上げ、より良い活動につなげていくことも必要不可欠でした。

  • □SharePointのアンケート機能を使用しオンライン投票会を実施する
  • □「社員の幸福度」をはかる社内アンケート調査の結果を振り返り、「やる気がない」などの原因を明確にして活動に生かす

⑥ヘルスケア。心だけでなく身体のしあわせも

“しあわせ”を感じるためには、健全な身体が資本。健康増進という視点の施策もみられました。

  • □社内スポーツフェスティバルの事務局をバックアップし、活動を支援する
  • □健康保険組合が実施する「ウォーキングキャンペーン」への参加を呼び掛ける。歩数合計を競い、参加賞や達成賞も用意
  • □月1〜2回の有給休暇の取得を推進。メンバー各自が、前月もしくは月初めに当月の休暇取得予定日を決め報告する

⑦しあわせのアイデアを、みんなで考える

「やらされている」のではなく自分ごととして捉えるために、メンバーを巻き込んでいくような施策もありました。

  • □テーマ別に有志を集め「オンラインディスカッション」を開催する。告知は社内報を活用する。具体的なテーマは以下。
    •  ·「私はこうして在宅勤務を活用しています」・・・在宅勤務の効率化
    •  ·「オンライン段々々々飛び※4ディスカッション」・・・普段接する機会の少ない事業部長と若手による交流も狙い
    •  ·「オンライン承認力の勧め」
    •  ·「共通の趣味を持つ仲間を見つけよう」
    •  ※4「段々々々飛び」:直接の上司ではなく、管理職や他部署との交流のことを「段々飛び」と呼んでいます。事業部長と若手の交流は「段々飛び」よりさらに階層や役職が異なることから「段々々々飛び」と名付けました。
  • □社員がしあわせに働けるためのアイデアを、会社へ提案する。提案先は、代表しあわせ会議、CHOミーティングなど

おわりに

上記でご紹介した30を越える施策は、代表しあわせ会議で報告されたものの中から、共通点や傾向が近いものをまとめて整理してピックアップしています。中には非常にユニークでオリジナル性の高い施策もありました。

たとえば「リアルタイムよろず相談」と名付けられた施策。アイデアの背景や狙いを記載したレポートの文面から、メンバー一人ひとりの顔が浮かんでくるような、しあわせ係の真剣な想いがもれ出しています。とあるしあわせ係はこう語ります。

若手の「誰のために、この仕事をしているのだろうか」「この成果物で、誰が喜んでくれるのだろうか」「この状況、誰にどのように相談すべきだろうか」という個人の不満は様々で多岐におよぶと思います。給料が少ない、休みが取れない、仕事がきつい、お客さまと気が合わない、昇格が遅いなどの“不満の解消”が幸せへのトリガーとなります。しかし、解消を諦めている人も少なくないのではないでしょうか。また、社内には“不満の解消”請負人のような人はいるのだろうか…

こうした想いがベースにあり、「相手の立場に立って、不満の解消や問題解決を図る」という目的があるのが「リアルタイムよろず相談」です。テーマ設定も「コンプライアンス」や「社内/業務上」「ハラスメント」「キャリア」などと限定せず、なんでもいい。

CHO、しあわせ係の“本気”、取り組む側の“コミット”。これらが施策を実践し、成功させるための非常に重要な要素の1つだったのかもしれません。

編集後記

この数年、当社では、着々と従業員エンゲージメントが向上しています。

振り返ると、上記の従業員の幸福度を向上させる「しあわせ活動」をはじめ、それ以外のさまざまな取り組みが有機的につながり、効果を出しているのだと私たちは考えています。

各々の取り組みはハイブリットワークLaBo内のコラムで、さまざまな視点からご紹介していますので、詳しくはそちらにゆずるとして、もし1つの大きな共通項があるとすれば、やはり「わくわく」ではないでしょうか。

「みんなが、わくわくと働ける社会へ」という想い。

表現の形はいろいろですが、私たちの活動の取り組みの根底には必ず「わくわく」があります。従業員エンゲージメント向上の秘訣は、「わくわく」にあるのではないか、これが現段階の私たちの分析です。従業員エンゲージメントの施策に迷ったら、そこに「わくわく」はあるか?意外に良いヒントが生まれてくるかもしれません。